まえがき
 この本は「月姫」に登場するファンタジー的事柄をDAAD発行の設定本風にまとめたものです。それなりに頑張っておりますが、内容はまったくの自己満足的解釈に満ち溢れており、基となった作品の隅から隅まで抜かりなくチェックしてできたモノではありません。矛盾点や間違いがあってもそこは寛大に対応してください。
ようするにモンスターマニュアルの追加、特殊能力解説、キャラクターのゲーム的解説、マジックアイテム解説なわけです。あっと申し遅れましたが、このルールはTRPGのAD&Dのシステムで使用する前提で書かれていますので、AD&D(第二版)をご存じの方は2倍楽しめるかもしれませぬ。

モンスターマニュアルの章
真祖(Real Vampire
出現数:1
AC-8
移動:72″/96″(MCA)//48
HD160HP THAC00
攻撃回数:8
ダメージ:3-18+Str.ボーナス×8
特殊攻撃:以下参照
特殊防御:以下参照
MR:以下参照
インテリジェンス:Godlike (20+)
アラインメント:Neutral NGorTNorNE
サイズ:M 5 1/2′〜6 1/2′)
宝のタイプ:不明
モラル:18
XP160,600(参考値、完全に倒せたらこの10倍のXP
 
[外見]
・真祖の外見は人間とほとんど変わりがない。一般的なヴァンパイアのような区別点が存在しないのである。身長や体重も平均的人間の範囲内である。ただし、彼らにとっては身長や体重というものは事実上意味を持たない。そう望めばいかなる状態にでも変化させられるのである。人間の姿を取るのも、単にもっとも多い知的生命体にまぎれるのが都合がいいというだけである。彼らは、おしなべてその容姿は美しい。

[性格]
・真祖はヴァンパイアと同一視され、恐れられているが、彼らは人間に対して何ら敵意は持っていない。彼らはドラゴンのように長命な種族に共通する視点で世界を見ている。そのため、人間社会その他に関してはさしたる興味も持っていない。しかしながら、もっとも栄えている知的生物である人間とは、好むと好まざるとにかかわらず、影響を受けざるを得ない。彼らは感情的、本能的な行動は基本的にすることはない。しかし、人間の血は彼らに麻薬のような作用をもたらすため、一度人間の血の味を知ってしまった場合、吸血衝動を押さえられなくなる場合が多い。これは彼らの唯一かつ最大の欠点といえる。

[生活様式]
・真祖は事実上何も摂取しなくても生存可能であるため、本来の生活様式といったものはない。しかしながら人間社会に溶け込んで生活する必要がある場合は、その地域の人間の生活様式に合わせた生活を営んでいる。

・彼らは食事も水も呼吸すら必要としない。必要なエネルギーは世界そのものから直接吸収することができるのである。しかしながら、呼吸や飲食などは、人間社会に溶け込んで生活する場合に不自然でないようにシミュレートできる。実際ちゃんと消化吸収もできるようである。また、人間の血を吸う真祖の場合でも、それはあくまでも嗜好品としてであって、吸わなくても全く影響はない。ただし、人間の血は彼らに強力な習慣性を与えるらしく、このためヴァンパイアの仲間と誤認されている。彼らの寿命は事実上無限である。

・彼らの繁殖方法については謎としか言いようがない。ただし、人間形態のときは男性、女性いずれのタイプも存在する。また、ごく稀ではあるが、人間と恋に落ちる真祖も存在するため、人間に近い繁殖方法ではないかと推測されている。子供の真祖は知られていないため、成長についてもまた謎に包まれている。一説では一定期間幼生体(これも謎)で過ごした後、人間形態になると言われている。

[歴史]
・彼らがいつから存在したのかは分かっていない。少なくとも人間の歴史が始まったときから彼らが存在していたことは各種の伝説から明らかである。彼らはアンデッドモンスターではなく、ヒューマンやデミヒューマンの関連種族でもない。彼らは世界を構成する5大元素(火、水、地、風、自然)そのものが具現化した存在で、しいて関連を求めるのならばエレメンタルヒューマノイド(ジニー、イフリート、ダオ、マリード、ジャン)の一族、ことにジャンに近いと言えるだろう。ほとんど世界の始まりから存在したといってよい彼らは、神を除けば世界最強といってもよい種族である。
 
[宗教]
・彼らは基本的に信仰は必要がない。すべてのことがらは自力で解決できる存在には無用のものであろう。それでも窮地に陥った場合や自分の力で解決できない事態に直面した場合は、より高位の存在に助けを乞うことも絶対ないとはいえないが。いずれにしても一般的な事柄ではない。
 
[道具・技術・武器]
・彼らはほとんどの場合、武器を用いない。また、アーマーも着用しない。いわゆるテクノロジーや魔法とも無縁である。
 
[戦闘]
・真祖は非常に力が強く(Str.22)、知能(Int.1623)、魅力(Cha.1721)も優れている。彼らは人間形態のときでも、素手で3-18×8回(Str.ボーナスあり)のダメージを与える。この攻撃はあらゆる種類の特殊防御を無視できる(真祖の特殊防御も例外ではない)。基本的に真祖を倒せるのは真祖のみなのである。またその他おもな特殊能力は以下。

1)リゼネレーション
受けたダメージを1seg.につき2d8HPの割合で回復できる。これはあらゆる種類のダメージに適用される(真祖から受けた攻撃およびある種のマジックアイテムの攻撃は除く)。また、体の一部が切断されても即座に接合し、回復できる。

2)耐性
 炎、氷、電撃、酸、アルカリ、ガス、毒の影響を受けない。スリープ、チャーム、ホールドなどの精神系魔法の影響も受けない。イリュージョンも効果がない。8レベル以下の呪文の効果も受けない。9レベル以上の呪文に対してもST成功(STが本来できない呪文も含む)で無効にできる。万が一失敗した場合も、1/4の効果しか受けない。ある種の特殊なものを除き、+3未満の魔法の武器も効果がない。+4以上の武器の場合も、そのプラス修正値分のダメージは無視し、本来の武器としてのダメージのみ受ける。

3)魔眼
 あらゆる生物の精神に影響を与える凝視を行える(アンデッドですら例外ではない)。これは“スリープ”“チャーム”“コマンド”“ドミネーション”“ホールド”などあらゆる種類のマインドコントロールが含まれる。これによって相手の記憶を操作したり、消したりもできる。回数に制限はなく、1Rに6回まで行える。また対象も一度に8人までである。対象になった者は−4のペナルティーで対呪文STの余地があるが、一度成功しても、その後のSTには何らボーナスは与えられない。魔眼の効果は3-12ターン続く。この攻撃に耐性を持つのは無生物(ゴーレムなど)、ある種のマジックアイテムで防御した者、神やそれに類する存在、そして死徒(後述)のみである。

4)吸血
 これは厳密に言えば特殊能力とはいえない。何らかの理由で人間の血を真祖が吸った場合、犠牲者は死徒(後述)になる可能性があるのである。吸血化した真祖は1Rで犠牲者のすべての血液を吸い尽くすことができる。ほとんどの場合犠牲者は死亡する。

5)空想具現化
 一言で言えば「思ったとおりの状況に現実を変える」ことである。真祖が世界のすべてのエレメントが具現化した存在である証明ともいえる能力である。具体的には世界を構成する存在の位置、配列、構造を自在に操る能力である。例を挙げれば、「気体を液体にする」「生物を石化する」「楽器を武器に変える」「木造建造物を石造建造物に変える」「鉄をプラチナに変える」「氷を燃える石炭に変える」などである。持続時間は瞬間から永久的まで自由に設定できる。これは攻撃、防御はもとより、あらゆる状況に対応できる究極の特殊能力といえる。この能力は想定する状況を思い浮かべるだけで使用できる。これには状況の複雑さにより、1~6seg.の時間を要する。またこの能力はHPがフルの状態で、しかも1時間に1回しか使用できない。

[弱点その他]
・彼らは直射日光を避け、日中は暗いところで休息するのが普通である。これもまたヴァンパイアに類似してはいる。しかし真祖は直射日光を浴びても何らダメージを負うことはない。推測するに、太陽からの何らかの波動が彼らの本来の活動に影響を与えているらしい。事実、日中に受けたダメージは非常に回復が遅くなる(本来の回復力の1/4程度)。逆に月の光は真祖の活動には良い影響があるらしく、満月の光の下では攻撃力、回復力が5割増になる。
 
アルクェイド=ブリュンシュタッド
AC-12
移動:96″/120″(MCA)//72
Str.25
Int.24
Wis.22
Dex.25
Con.2412
Cha.23
相当クラス/レベル:ファイター20レベル、ウィザード15レベル
HP1600100
XP
( )内の値は志貴に「殺された」後の状態
 真祖の姫君と言われている白き吸血姫。彼女は真祖のなかでも最も強力な存在である。また、彼女は「道を外した」真祖を処分する役割を担っており、同族からも非常に恐れられていた。そのため、大部分の真祖が人間の血の味を憶えてしまった状況に陥ったとき、彼女はほとんどの真祖を処分する事態になってしまった。
 彼女自身は血の味を知らない「純潔な」状態を永く保ってきたが、最強の真祖に吸血されることを望んだ者によって、ただ一度だけだが吸血のタブーを冒すことになった。
 このため、彼女はその力の一部を奪われ、思わぬ弱点を内包する存在になってしまったといわれる。それにも関わらず、彼女の実力は真祖でも最強であることは疑いない。しかしながら彼女が真に深刻なダメージを負ったときの回復力については大きく損なわれているであろうと言われる。もっとも彼女にそこまでのダメージを負わせる存在があるとは思われないが。
 彼女は真祖がもっている能力は全て使うことができる。また攻撃回数は通常の真祖の倍、ダメージダイスも倍である。また、HPがフル状態でなくても空想具現化が使用でき、回数も1ターンに1回の割合でできる。ただし体力が消耗している状態でこれを行った場合、しばらくはリジェネレーションが働かなくなるといわれている。

死徒( Demi Vampire
出現数:1
AC-2
移動:48
HD12
攻撃回数:4
ダメージ:2-12+Str.ボーナス×4
特殊攻撃:以下参照
特殊防御:以下参照
MR:以下参照
インテリジェンス:ExceptitalGenius (1519)
アラインメント:Good以外
サイズ:M 5 1/2′〜6 1/2′)
宝のタイプ:不明
モラル:18
XP11,350+16/HP

 死徒は真祖による吸血によって人間が変化して誕生した種族である。もっとも真祖に吸血されたすべての人間が死徒になるわけではなく、それにはその人間にある種の条件が必要らしい。つまり基本的には真祖に血を吸われた人間は即死する。だがもし、真祖が吸血したとき、その体液の一部が人間に吸収されると、人間の新陳代謝能力に著しい変化をもたらす。これが死徒の特殊能力の基礎になるのである。本来の生命力の源である血液を抜かれ、まったく異なる生命力の源である真祖の体液を得た生命体は、もはや人間とは言えない。これが、よりヴァンパイアに近い存在である死徒である。

[外見]
・もともと人間から変化した存在であるため、死徒の外見は人間と同じなのが基本だが、死徒としての生活が長期間になるに従って、だんだん外見は怪物的に変化していく。数世紀を経た死徒たちは、その外見はそれぞれすべて異なっている。

[生態]
・真祖の体液から得た能力を人間の肉体で維持することはもともと無理がありすぎるため、死徒になった者は必然的に激しい飢えと渇きに襲われる。この飢餓感は今までの人間としての倫理観など一たまりも無く吹き飛んでしまうほど強烈なものである。そのため、以前のアラインメントに関係無く彼らは自らの肉体を維持するため、人間や動物を狩る存在となる。太陽の光は彼らの肉体を激しく消耗させるため、狩りの時間は夜間に限られるのが普通である。活動に充分な「食事」が獲られなかった場合、死徒は衰弱を避けるため長期間の「睡眠」につく。この期間は一定せず、場合によっては数世紀に及ぶこともある。睡眠中に「食料」もしくは「敵」が30′内に近づいた場合、死徒は即座に目覚めて活動を開始する。彼らに寿命はなく、倒されない限り死ぬことはない。

・一般的なヴァンパイアと違い、彼らもまたアンデッドではなく、ニンニク、鏡、流れる水を恐れることはない。だが日光には弱く、4時間以上日光を浴びると体が崩壊してしまう。ホーリーシンボルには直接の効果はないが、自分たちを付け狙う組織のシンボルであるため、不快感を示す。

[戦闘]
・死徒は19ポイントのStr.値を持つ。攻撃においては死徒は素手で犠牲者を掴み、首筋に噛み付いて血液を吸収するのが基本的な襲撃法である。吸血された犠牲者は対麻痺STを行い、失敗すると気絶し、死ぬまで血を吸い尽くされる。吸血は毎ラウンド2d8ポイントのダメージとCon.1ポイントを犠牲者から奪っていく。どちらかのポイントが0になった時点で犠牲者は死亡する。また、犠牲者に体液を送りこむことにより、犠牲者を自分のために働く下僕にすることもできる。この場合、1%の確率で独立した死徒になってしまう可能性がある。

・死徒は毎ラウンド1d4+1HPづつリゼネレーションする。これは満月の光の下では3倍になる。この場合はHP0以下になった場合でも回復する。

・死徒は+2以上の武器もしくは“ブレス”された武器でしかダメージを受けない。また、スリープ、チャーム、ホールドなどの精神系呪文、麻痺、毒、ガスなどに耐性を持つ。冷気系呪文はダメージ1/2。電撃呪文はダメージの分のHPを回復させてしまう。

・死徒の天敵は真祖である。真祖は自ら誤って生み出した存在である死徒を消去しようとしているのである。そのため、死徒は真祖に発見されることが無いように慎重に行動する。また、プリーストたちも彼らを付け狙っている。プリーストの特殊能力とマジックアイテムの威力は侮れないため、これにも注意は怠らない。


※二十七祖とロア
・死徒のうち、特に年月を重ねて特殊能力が突出したものたちを二十七祖という。この構成員は必ずしも不変ではなく、各時代において構成は異なっている。また、ロアは二十七祖の構成員ではないが、特定の肉体を持たない死徒として特筆される。
・ここでは乏しいながらも資料を得ることのできた死徒の能力を述べる。
 
ネロ・カオス
AC-5
移動:48
Str.21
Int.20
Wis.16
Dex.23
Con.20
Cha.14
相当クラス/レベル:ファイター14レベル
HP94(本体)、事実上1500HP以上
XP66,280(参考)

・ネロは動物の能力を取り込むことで、食糧の供給および特殊能力を発展させてきた死徒である。彼は食料とした動物を自らの体にそのまま取り込むことにより、その動物の特殊能力、HP等を自分のものにしてきた。彼が取り込んだ動物の数は666体と言われている。これらの動物の生命力を利用し、ネロは自分のHPが乏しくなると、取り込んだ動物の生命を「代わり身」として用いる。このことによって自分は無傷を保ち、事実上無敵の肉体を得ている。ネロを倒すためには何らかの手段で1R以内にHPをすべて奪うしかない。

・ネロは4HDまでの生物を丸呑みするがごとく一瞬で体に取り込んでしまうことができる。「食事」は主にこの方法で行われる。

・また、彼は取り込んだ動物を分離させて「狩り」の猟犬のように操ることができる。これは1R12体まで出すことができ(同時に操れる最大数は36体まで)、ネロと同じTHAC0で攻撃させることができる。また、ウィザードにおけるファミリアのように、偵察に用いることもできる(特に昼間の「敵」の情報を得るため)。出てくる動物は以下の表の通り。

ワイルドドッグ
ウルフ
タイガー
ハイエナ
ジャッカル
ブラックベアー
ワイルドボアー
バルチャー
ジャイアントスタッグ
ジャイアントレイヴン
ライオン
エレファント
ジャガー
レオパード
ジャイアントリザード
コンストリクタースネーク
ポイゾナススネーク

・それぞれの動物は、一般的な動物と同じHDを持ち攻撃回数、AC、およびダメージも同じであるが、命中判定のみはネロのTHAC0を用いる。これらの動物は倒されると粘液状になり、接近攻撃をかけたものはDex.チェックを行い、失敗すると粘液に捕われて1d4R“スロウ”の状態になる。

・また、ネロの意思により複数の動物を組み合わせていわゆるモンスターを出現させることもできる。これは動物3体分で“モンスターサモニングW”、4体分で“モンスターサモニングX”、5体分で“モンスターサモニングY”、6体ならば“モンスターサモニングZ”、7体で“モンスターサモニング[”と同様のモンスターが合成される。

・これらの動物はネロの体内から分離していない状態であっても、周囲の敵の状態を察知しているため、ネロは不意を打たれることはない。
 
 
ロア(ミハエル・ロア・バルダムヨォン)
AC-5
移動:48
Str.宿主+6
Int.22
Wis.16
Dex.宿主+6
Con.宿主+6
Cha.宿主による
相当クラス/レベル:ファイター16レベル、ウィザード15レベル
HP:宿主による
XP51,000(参考値、もし本当に倒したのならその10倍)

・ロアは肉体を持たない特殊な死徒である。もちろんかつては肉体を具えた普通の死徒であったのも事実である。彼はネクロマンシー呪文を長年研究し、生前の意識を持ったまま魂だけの存在になることを可能にしたのである。彼は人間の肉体に憑依し、その肉体を使って活動をする。当然、そのかりそめの肉体が倒されても彼は再び別の人間にやがてとりつくだけのことである。肉体を次から次ぎへと脱ぎ捨てて魔的な成長を遂げることから「アカシャの蛇」という通称がある。

・通常ロアは、未だ人格が確立されていない存在、生まれる前の赤ん坊に憑依する。そしてその肉体が活動を開始するのにふさわしい年齢に成長するまで休眠する。だいたい宿主が10+2d4歳に成長すると、ロアは宿主の人格の暗黒面として活動を開始する。この時点で肉体的能力は死徒としてふさわしいものに変化する。また、宿主が元々持っていた身体的、精神的能力も自在に操れるため、ロアは憑依する対象の血筋等も事前に調査している。特にウィザードやプリースト、魔法的種族の血を引いた家系は、特殊能力を得やすいため好まれる。

・宿主の人格はロアになかば同化した状態にあるが、完全に取り込まれたわけではない。肉体が倒されてロアが出ていった後の遺体に“レイズデッド”をかければ本来の人格を備えた人間として蘇生が可能である。ただし、その肉体的能力はロアの憑依によって底上げされていたものがそのまま残るため、超人的な体力と回復能力を有することになる。また、より強力な呪文“リザレクション”を用いると肉体とロア本体とのリンクが断ち切れず、たとえHP0以下になってもロアからHPが逆流し蘇生するようになる。つまりその肉体はロアが完全に消滅するまで死ぬことがない体になるわけであるが、それも一種の呪いであると言えよう。

・ロアもまた死徒の一族であるため、肉体を得たときには死徒としての特殊能力を一通り得ている。しかしながら彼の回復能力は一般的な死徒より強力で、1Rにつき2d4+2HP回復する。また満月時には1Rにつき最大HP1/4づつ回復できる。なぜ彼がこのような強力な回復力を得られたのかは謎である。

・ロア独自の攻撃法は宿主の素質によって異なるが、知られている例としては次の2つがある。1つめは“アニメイトブラッド”。これは自分の血を自在に操るもので、移動はもとより形態を変化させることも可能である。敵に浴びせた返り血をそのまま攻撃に転用できるので、精神的衝撃も大きい。攻撃に用いる場合、血10ccにつき1ポイントのダメージを与える刃物に変化させることができる(つまり200ccならば20HPダメージ)。2つめは謎に包まれているが、知られている内容は以下の通りである。ロアが刃物を持って戦った場合、命中とともに必ず体の一部分が切断されるのである。これは“シャープネスソード”の効果に似てはいるが、その確実性、必殺性については遥かに上回っている。命中すると敵のHP1/2奪われる(腕)、2/3奪われる(脚)、もしくは即死状態(首か胴)のいずれかになるのである。これはd41=腕、2=脚、3=首、4=胴体)で決定される。なぜそうなるのかはっきりとは分かってはいないが、おそらく彼は生物の弱点のような部分を感知できるのではないかと思われる。

※原文ではロアは転生すると書かれていますが、シエルやシキや志貴などの実例から判断する限り憑依の方が適切と思われたので、そういうふうに記述してます。


死者(Zombie ver. tsukihime
出現数:1 ~4
AC6
移動:9
HD3+12
攻撃回数:1
ダメージ:3-12
特殊攻撃:以下参照
特殊防御:以下参照
MR:以下参照
インテリジェンス:Low (5~7)
アラインメント:Neutral (Evil)
サイズ:M 6′)
宝のタイプ:なし
モラル:スペシャル
XP640+4/HP

[外見]
・このゾンビは死徒の吸血によって全ての生命力を吸いとられた人間から生まれた者である。アンデッドモンスターではあるが、彼らの肌は腐っておらず、青ざめていて、革のように硬い。その目はうつろで焦点が定まっていないが、一見すると普通の人間のように見える。

[生態]
・彼らはあらゆる所で見られる。主に死徒の手先として、食料供給役や偵察要員として活動する。とくに命令を受けていない場合は生ある者をことごとく殺害しようとする。彼らは何も摂取せず、生態系の一員でもない。

[戦闘]
・彼らは状況も含めた完全な命令に従うことが可能で、単純な戦術や戦略を実行できる。彼らは死の瞬間にゾンビとなったため腐敗の度合が少なく、普通のゾンビよりも肉体の保存状況が良い。このため彼らは普通にイニシアチブを行う。また、彼らは普通の武器を扱うことができ、ミサイルウェポンも使用できる。彼らは6HDモンスターとしてTo Hitを行う。

・彼らは死徒の体液の影響を受けているため、+1以上のマジカルウェポンでしか傷つけられない。そのうえ、鈍器や突き刺すタイプの武器は半分のダメージしか与えられない(切るタイプの武器はフルダメージ)。彼らにはイリュージョンも含め、全ての精神に影響を及ぼす呪文が通じない。さらに毒、電撃、“マジックミサイル”、コールド系、デスマジックも効果がない。炎も半分のダメージしか与えられない。酸とホーリィ ウォーターは通常のダメージを与えられる。彼らは破壊されるまで戦う。彼らのターニングは、スペクターと同じ扱いとなる。
 


キャラクターの章
シエル(Ciel
AC-2
移動:48
Str.13+6
Int.15
Wis.18
Dex.13+6
Con.12+6
Cha.15
+6の修正はロアとのリンクによる。
クラス/レベル:プリースト7レベル、ファイター12レベル
HP83
呪文領域:プロテクション、コンバット、チャーム、ソウト、オール、ディビネーション(マイナー)、ガーディアン、ロウ、ネクロマンティック(マイナー)
特記事項:アナセメーテイズを受けている。死徒と同等の肉体能力、回復能力。

 シエルはかつてロアに憑依され、死徒として人々を恐怖のどん底に陥れたという過去があった。結局彼女はアルクェイドに倒されたが、その復活を恐れた教会関係者に“リザレクション”をかけられた。本来はその呪われた肉体を浄化・消滅させる目的でかけられたものであったが、彼女は文字通り「復活」してしまった。その後も彼女を「消す」試みは何度も行われたが、いずれも失敗した。結局彼女の身は裏組織である埋葬機関に託されることになり、その「罪」の償いのため、死徒を狩るスペシャリストとして養成されることになった。

 埋葬機関とは教会の教義に矛盾する存在を文字通り「葬る」ための機関である。その起源は中世暗黒時代まで遡り、いわゆる魔女狩りにも大きな力を発揮したと言われている。その構成員は、いわゆる異端者の集団であり、正式な僧侶の力では対抗できない存在や教義上存在してはならないものを消去するのが任務である。近年は、他の宗教との協定によって活動地域や内容に一定の枠が掛けられていると噂されるが、死徒を退治することに関しては最も優秀な組織であることは他の宗教・魔法組織からも認められているため、その目的については比較的自由に活動できるようである。

 埋葬機関の者はいずれも異端者や罪人であるため、“クエスト”が課せられ、“アナセメーテイズ”による刻印が体に印されている。シエルも教会の高僧によって“アナセメーテイズ”を受けている。また、決して教会の支配階級に叛旗を翻すことの無い様、埋葬機関の者のプリースト能力レベルは最高でも7レベルまでの制限を受けている。

 ロアとのリンクにより彼女の肉体能力は、死徒に匹敵するものとなっており、埋葬機関での修行で得たプリースト能力とあいまって極めて優秀な死徒ハンターとなった。それはまた、教会の支配階級にとっても脅威となりかねない存在である。埋葬機関第七位の実力者という称号は、単に順位を示すものではなく、その「7」という数字の意味が彼女の立場を端的に表現しているのである。彼女はロア追討を“クエスト”における至上任務とされている。

 その超人的体力を維持するため、シエルは非常にエネルギーの強い食物を好む。とくに各種スパイスの混合された非常に辛いモノはもっとも効率がよいらしく非常に好む。

 
遠野秋葉
AC3
移動:24
Str.19
Int.15
Wis.14
Dex.18
Con.8
Cha.16
相当クラス/レベル:ファイター17レベル
素手でのダメージ:1d6+41d6+4
HP44

 遠野家は異界の者の血を引く一族で、大なり小なり特殊な能力を持っている。遠野秋葉もまた、遠野家の当主にふさわしい特殊能力を保持している。彼女のもっとも強力な特殊能力は、凝視によるエナジードレインである。通常のそれと異なり、このエナジードレインは犠牲者に冷気ではなく、熱気を感じさせる。これは彼女のエナジードレインが「吸い取る」のではなく「奪い取る」という形式であることから来ているのであろう。彼女は視線の届くところなら確実に犠牲者を捕らえることができる。凝視という性質上、この攻撃は必ずラウンドの最初に行われる。標的となった者は対石化STの余地があるが、成功してもHP1/4を失う、ただし無修正で20が出た場合のみダメージを受けずにすむ。STには状況によって+4-4の修正が加えられる。凝視の命中した部分は蒸発したかのごとくに燃え尽きる。これによって失われたHPは文字どおり「奪い取られた」ため、回復は不可能である。また、犠牲者が特殊能力を持っていた場合は、それさえも「奪い取る」ことが可能らしい。

 彼女はまた、その髪の毛も攻撃に用いる。彼女の髪の毛は触手のごとく伸縮自在であり、半径20′内の敵に攻撃が可能である。髪の毛は一度に4体までの相手に攻撃でき、それぞれ2d4HPのダメージを与える。それに加え、髪の毛は相手の急所を突くことにより、“スリープ”“スタン”“パラライズ”“デス”のいずれかの効果を及ぼすことができる(STは可能)。もちろんこれらに対して耐性を持った相手には効果を及ぼせない。

 彼女はこれらの特殊能力を発現させるときは髪の毛が赤く変化する。
 

遠野志貴
AC10
移動:12
Str.12(ときに原因不明の減少あり)
Int.14
Wis.16
Dex.14(ときに原因不明の減少あり)
Con.8(ときに原因不明の減少あり)
Cha.15
相当クラス/レベル:不明
HP44

 彼はあらゆる生命体および非生命体の致命線・致命点を見ることができる魔眼の持ち主であり、その部分を切ったり突いたりすることで、あらゆるモノ(“プリズマティックスフェアー”や“ウォールオブフォース”などの魔法的物体や力場なども含む)を一撃で「殺す」ことのできる能力の持ち主である。致命線を切られたモノは必ず切断され、致命点を突かれたモノは“ディスインテグレート”されたように消滅する。もちろん生命体の場合は復活できない。“ウィッシュ”を使えば可能かもしれないが確証は無い。

 彼の肉体は数々の異常な事態によって蝕まれている。魔眼の能力も、四六時中世界のあらゆるモノの致命的な部分を見せつけられるという非常な苦痛を伴い、「常視の眼鏡」を掛けることで辛うじて正気を保っている状態である。また、幼少時に受けた原因不明の負傷により、著しくCon.値を損なっている。また、ときにその傷が原因と思われる発作で意識を失ったり、Str. Dex. Con.値がそれぞれ31くらいまで減少することもある。2以下になった場合は自力で動くことがほとんどできなくなる。

 その低いCon.値にも関わらず彼の回復能力は常人をはるかに上回っており、2d4HP/日の回復ができる。また、場合によっては一晩でほぼ完全回復することもある。
 彼が“七夜の短刀”を手にすると、彼のAC:-7になり、Str. 値とDex.値がそれぞれ+7され、移動力も4倍になり、1Rあたりの攻撃回数も7に増加する。また、攻撃回数と同じ数までの物理攻撃をパリィできる。また、当然ながら“七夜の短刀”本来のボーナスも得られる。

 彼はモノに見える線や点を確定できさえすれば、ほぼ確実(無修正で1を出したとき以外)に攻撃を命中させて切断/消滅させることができる。確定には対象によりある程度の時間がかかる。たとえば“ライトニングボルト”を「殺す」場合は、電撃が到達してから「殺す」までのごくわずかの時間に相当するダメージ(ダイス1個分)を受ける。ただし接近戦の場合のみである。いくらなんでも武器のリーチ外のモノの致命線/点は攻撃できない。ただし、飛び道具や魔法の攻撃を「殺す」ことは容易にできるだろう。

 魔眼は非常に精神に負担がかかるため、1ターンを超えるごとにラウンド当り2%の確率で発狂する可能性が累積していく。
 
 
マジックアイテムの章

※アイテム経験値と金額は計算方法がわからないので省略してます。

常視の眼鏡(Glass of Normal Vision
 これは一見するとごく普通の眼鏡のように見える。実際通常の人間がかけても、単なる度の入っていない眼鏡としか思わないであろう。これはトゥルーサイト、インフラビジョンなどの特殊視能力を封じ、着用者を通常の視力にしてしまうものである。他者からの視線攻撃等を防ぐものではないため、ゲーズ攻撃などには防御ボーナスはない。
 
七夜の短刀(Knife of seven nights
 これは刃渡り4インチ程度の小型のナイフである。一見すると武器としては役に立ちそうもないが、未知の金属で作られており、強い魔力が込められている。この短刀は使用者のイニシアチブに+5のボーナスを与えるだけでなく、人間以外の生物に対して+2、死徒や真祖に対しても効果があるばかりか、+3の命中およびダメージの修正がある。しかしながら、この程度のボーナスでは所詮焼け石に水にもならない。おそらく使う者の才能や能力に依存する隠された力があるに違いないと推測されている。
 
 
黒鍵(Throwing Sword of Black Key
 これは黒いロングソードのような外見をしているが、刃はついておらず、剣としては使用できない。普通これは3本一組で見つかる。この正体不明の武器はダートやスピアーのように投げて使用する。実際、攻撃回数やスピードファクターはダートと同じに扱われる。
 この武器は埋葬機関のプリーストによって死徒を倒すために用いられる。通常の修正は+2だが、死徒に対しては+5の命中/ダメージ修正があり、基本ダメージはミディアムランスのチャージダメージに等しい。また、この武器で受けたダメージは死徒ですらリゼネレーションできず、回復には1d3夜要する。一説によれば真祖にも効果があるという。

第七聖典(Harpoon of seventh kanon)プリースト専用
 これは普段は本の形をしているが、必要に応じて武器に変形できる。武器形態は火薬で槍を打ち出す形式のもので、ハープーンのように用いられる(命中修正+5、ダメージ2d10)。これは埋葬機関における死徒に対する必殺兵器で、死徒はこの武器によるダメージを黒鍵同様回復できず、To Hit1920が出た場合は確実に消滅する。これにより死徒の魂は最終的な安息の地に旅立つということである。また、未確認であるが真祖にも同様の効果があるらしい。この武器はインテリジェンス(12)を持ち、使うに相応しくないプリーストには扱うことができない(武器に変形させることもできない)。
 使うためにはプリーストのレベルとウィズダム値を足して2で割った値と武器のインテリジェンス値を比べ、プリーストの方が高い場合にのみ変形を命ずることができる。その場合でも第七聖典は変形を拒む場合がある。そのときはd20し、プリーストのウィズダム値以内を出せば従わせることができる。ただしあまり強制的に使いすぎたり、ハープーンの撃ち出しを一度の戦闘で2d8回以上した場合、第七聖典はヒューマノイド形態に変形して逃走することもある。
 
 
  
あとがき
 月姫は本文の能書きがやたら多いので全部把握するとかえってTRPG用の設定として使いづらくなるので意図的にごまかした部分もあります。とりあえずファンタジー用なので、「月姫風」世界での冒険に使えれば(って使えないって)と思いますが。ここに載せたキャラクターをTRPGで使ってみたらどうなるのでしょうか?まあパワープレイでしょっちゅう神や魔王と戦っている人(戦わせている人)にとっては全然大したことないでしょうが。
ところで、琥珀、翡翠、さっちん、青村青子、レンは?って方もいらっしゃると思いますが…。さっちんはただの死徒だし、その他のキャラは戦ってないので今一つ数値化できず…。



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